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(第10話)A社のミニストライキ!
ダイク村でミニストライキがありました。
それは、Vietnam Dairokuが入居しているダイク村管理棟のちょうど真向かい
にあるA社でのことです。
A社では、工場立ち上げ時に5名での作業を想定していた部門に6名のベトナ
ム人社員を配置して操業を開始していました。
A社のK工場長によれば、
「リタイアするやつも出るやろ!ということを想定して、最初は1名多めに採
用しといたんですわ!」
とのこと。
当然、人によって仕事の向き不向きもありますし、人件費が安いベトナムにあ
って、リタイアも想定して立ち上げ時には少し多めに採用するというのはごく
ごく自然な話です。
A社が操業を開始しておよそ一年が経過した先月・・、
案の定、1名の社員がリタイアすることになり、当初の想定通りということで
そのまま5名で操業を続けていると・・、
社員達から次のような申し入れがありました!
「6名の仕事量をを5名で賄うのであれば一人あたりの負担が増加する!」
「我々は今後、従来よりハードワークに従事することになるのであるから、
その分の給料を上げて欲しい!」
「もし、この要求が認められないのであれば本日付けをもって、
5名全員辞表を提出する!!」
というものです。
A社のワーカークラスの給料は一人あたり1,000,000VNDだそうです。
相場としては、ダイク村でも指折りの高給?に設定しているVietnam Dairoku
よりも若干高い水準です。
日本円にすると基本給が7500円で、更に会社負担の社会保険料及び各種手当て
に昼食代の会社負担分も合わせると一人あたり9500円縲鰀10,000円ということで
ダナンに於いては決して安い給料ではありません。
ダイク村では、T社でもL社でもワーカークラスの賃金は、ダナンの最低賃金
710,000VNDに若干色を付けた程度である事を鑑みてもA社の1,000,000VNDは、
相当良い条件であるといえます。
更に、ダナンの賃金相場は、ローカル企業はもとより韓国資本、台湾資本にお
いては最低賃金すら守られていないという現状ですから、ダイク村の村民会社
は何れもそれなりに優等生的な賃金相場を守っていると言えます。
A社のK工場長いわく・・、
「要は、世間知らずなんですわ!」
「決して雇用情勢が良くないダナンに於いて、他を当たってみればウチの待遇
が良かったんだということがわかります。」
「彼ら、辞めて次の就職活動を始めてから後悔するんですよ。」
「軽はずみなことをして辞めなければ良かった・・って。」
A社の工場長は毅然として!
「当然!『会社としては、君たちの要求には一切応じられない!』
と言ってやりました。」
「翌日から、5人のうち4人は来なくなりました。」
「でもね・・、一人だけは賃金の世間相場を良く知っていて、もともとストラ
イキには反対だったそうなんですが、廻りの4人にほだされてしぶしぶ参加
していたようなんです。」
「5人が私のところへ交渉に来たときも一人だけうつむいていました。」
「それで、その一人だけは残ってくれることになりました。」
「そのあと、ストライキの首謀者から残った一人に対してぐじぐじと嫌がらせ
があったそうです。」
「ま、今は落ち着いて平和な会社になってますけどね!」
K工場長としては、最初から
「現在は、もともと一名分過剰な人員配置なのである。
従って、5名が適正配置なのであるからそのつもりで・・。」
というようなことを言っておけば・・。という反省もあるかもしれません。
海外での操業は、言葉が違うだけでなくそこで働く人材の常識から価値観から
習慣から文化から・・、日本とは相当違う人材をコントロールして行わなけれ
ばなりません。
そのためには、「このくらいは言わなくてもわかるだろう・・。」という一見
常識的暗黙知だと思われることまで、これは○、これは×というように事細か
に文章化して社員に説明し納得させておくことが大切です。
Vietnam Dairokuでは、『十七条憲法』のようなものを書き記して社員に配っ
ておりますが、来年早々には、改めて『大宝律令』の制定が必要か!?
などと、思っている次第です。
(Mr.ホー)