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越南的徒然草・・・（ベトナムのイライラ　その3）

■会計ソフトを買いに行く

ベトナムの会社では、基本的にはアカウンターという専門の資格を持った会計
責任者を一社に一人以上置かなければならないことになっています。

しかし、アカウンターを正式に雇用するとなると、その給与相場は35,000円位
ということなのでおよそ9000円～10,000円のワーカーの給料と比較すると随分
大きなコストになります。

しかし、ある筋から・・、

「アカウンター業務のみをアウトソーシングすることも出来なくはない。」
という情報も得ていましたので、

「弊社の場合、大六印刷からの入金しかないわけだし、
支払いも給料と家賃、そして通信回線料とその他雑費くらいだから、
当然、アカウンターはアウトソーシングで・・・。」
と考えていました。

しかし、その後面接した女性の中に、なんと！
「わたし、アカウンター資格を持ってます！」
という娘が２名いたのです！

「あっそう！あなた、アカウンターの資格持ってんの！？」

「どれどれ、これが資格証？間違いないんだね！？」

「でも、ＤＴＰで募集しているんだから、まずは、ＤＴＰをやってついでに
アカウンター業務も担当するってことでもいい？」

「それじゃ、アカウンター手当として一応プラス100,000VNDね！」

ということで、20,000円の予算で２名のアカウンターを確保することが出来た
のでした。

それで、アカウンター業務をさらりと済ますことが出来るようにするために
会計処理用の会計ソフトを購入することにしました。

通訳のトゥン君とアカウンターのチャーさんを連れて会計ソフトを扱っている
というソフトショップへいってみますと、そこはいわゆる「ソフトショップ」
という感じではありません。

ごくごく普通のビジネスビルなのですが、エレベーターに乗るにはIDカードが
必要で、「部外者、入館お断り！」という雰囲気をチラッと漂わせていてセキ
ュリティはとりあえずしっかりしているぞ！というビルでした。

我々は、一階受付の前にある、座ると埃でお尻が白くなりそうなソファへ案内
され、スプリングが壊れたクッションで散々待たされていると、まるで将棋の
駒を逆さにしたような顔だちでうっすらと髭を生やした若い兄ちゃんがやって
きました。

「ヤシっぽい雰囲気の兄ちゃんだね～・・・・・。」

「はじめまして、Mr.ホーです！」

「はじめまして、将棋の駒です！」

といって名刺交換した後

「会計ソフトが欲しいんですが・・。」

「ウチは、取引先が多いわけではないし、入出金も頻繁にあるわけでは
ないので必要最低限の機能が付いていればいいんです。」

「おいくらでしょうか・・・？」

「ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ！わかりました！」
「それでは、明後日に見積をお出しいたします。」
「FAXさせていただきます。」

「明後日って！
パッケージソフトでしょう！？今、いくらかわかりませんか？」

「今日は、取り込んでいるんで・・。」

「じゃあ、明日の夕方迄でも良いですよ・・。」

　「明日も、忙しいんで・・。」

「なぬっ！」

忙しい・・・などとはいっても、彼らは昼休みは一時間半しっかり休むことを
知っている私は！

「あのね・・！！
私は明日の夕方の便で日本へ帰らなければならないんで、
概算金額だけでも知りたいんですよ！
必要なお金を会社に置いていかなければならないし・・。」

「ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ・・・。」
「では、7,000,000VNDくらい（約50,000円）でしょうか・・・。」

「へ～、結構高いんですね！」
「日本の会社で使っているパッケージソフトは30,000円以下のソフトですけど
充分な機能がありますよ。
先ほども申し上げたように、必要最低限の機能が付いていればいいんです！
小遣い帳程度の機能の廉価版は無いんですか！？」

　「ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ！わかりました！
それでしたら、もう少し安くなると思います・・。
明日、お電話いたします。」

「お忙しい時に申し訳ありませんね！
それじゃ！宜しくお願いいたします。」

「くれぐれも安いやつね！！！」

といって、将棋の駒と握手をして別れた後・・・。

 

「トゥン君・・！会計ソフトって、そんなに高いのかい？」

　「ん～！良く解りません・・。」

「チャーさん・・！会計ソフトの相場って知ってる？」

　「わたし・・、わかりません・・。」

「あっそう・・・・・・。」

 

翌日、トゥン君に将棋の駒から電話連絡が入りました！

「社長！15,000,000VND（約１１万円）だそうです！！」

「バッ！バッカヤロー！！あのガキャ！何を考えとるんじゃ！！！」

（Mr.ホー）