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(第47話) NAVI BANKの個人口座
Vietnam Dairoku設立当初、資本金もなく銀行口座もTax Codeもなかった頃、
投資ライセンスは手にしたもののダイク村にあるVietnam Dairokuのガラ~ン
とした事務所には、研修を終えて帰国したばかりの希望に満ちたベトナム人ス
タッフ3名とハンドキャリーで入国しようとしホーチミン税関との大バトルの
結果苦労して持ち込んだマック5台がダイク村からお借りした机の上にお行儀
良く並んでいるだけでした。
当時、本社は厳しい金欠状態だったため、予定していた資本金をなかなか準備
することが出来ず、資本金ゼロ状態のままで準備を進めていかざるをえません
でした。
そのため「あとで戻せばええわ!」というお気楽モードで、私個人の資金をつ
ぎ込みつつWinのPCやモニターやプリンター、更に机や椅子やキャビネット
や冷蔵庫・・、と毎日毎日買い物ツアーに出歩く日々を過ごしました。
最初のうちこそ、どこででいくら両替し、レートはいくらで、何にいくら使い
・・、などと事細かに小遣い帳的なメモをつけていましたが・・、領収書をく
れないタクシーやいちいちレシートを要求することがはばかられるような些少
な買い物の際に「ええわ!ええわ!」と持ち出しっぱなしを続けていたため小
遣い帳と手持ち現金の差異が大きくなり・・、それに加えて、私が不在中の出
費に備えるためユンにまとまったお金を預けておいたり、西本君の単独出張の
際に仮払金を渡しているうちに、私の個人資金から払った分が一体いくらで・
・、うち会社経費と呼べるものにいくら使って、個人消費の分がいくらであっ
たのかということがあやふやになってしまい・・、
途中からアカウンターを採用し、会計に関してはアカウンターに管理してもら
うようにしたもののアカウンター入社以前の部分に関しては、私はもとより、
ユンにも西本君にも誰も解らなくなってしまっていました。
「どうせ、あとで戻せばええわ!」というお気楽モードでバンバン使っていた
個人資金もいくら戻せばよいのかがわかるエビデンスがなければ会社としては
戻せないわけで・・、また、ベトナムの税務局は、Hoa Donという正式な赤い
領収書がない出費に関しては経費参入を認めてくれないため、私の大事な個人
資金達は、お気楽モードの出費としてそのまま会社にくれてやったことになっ
てしまいかねないという極めて危険な状況に陥っていました。
しかし、ありがたいことにベトナムの法律では、外資企業は最初の黒字決算の
年から三年間は法人税の支払いが免除されます。
ということは、たとえ経費参入が認められずに帳簿上黒字になってしまったと
しても法人税の支払い義務は生じないため、免税特典があるうちにお気楽出費
分を清算しておけば、経費参入云々は実質的には問題にならないわけです。
そこで、関係者の買い物記憶が忘却の彼方へ走り去ってしまわないうちに・・
まだ、「結集」作業を繰り返すことによって証人の記憶を確たるものにしてい
くことによって出来るだけお気楽出費の正当性を確実なものにし、私の大切な
個人資金を早めに取り戻す必要がありました。
Vietnam Dairokuは、昨年の暮れよりなんとか単月黒字を生み出せるようにな
っていましたので、今年に入ってから、私とユンとアカウンターのチャーさん
との間で「結集」作業を繰り返し、エビデンス或いは証人がいない分について
は諦めざるを得ないものの、とりあえず「私の個人資金のうち会社立ち上げ経
費として使った分」を確定する事ができました。
私が「どうせ戻ってくるさ!」と思っていた個人資金は、想像より随分少ない
ような気もしましたが、そもそも小遣い帳をしっかりつけていなかったのは私
の責任ですし仕方がないこととして受け入れざるを得ません。
ベトナムの普通預金は、VND建てで預金しておけば約8%の利息がつきます。
少額であれば日本円に清算して持ち帰ることも出来なくはなかったのですが、
8%の利息は魅力です。
当然、これからも出張時にはVNDが必要となりますし、そのたびに為替レート
を気にしつつ闇の両替屋でVNDに両替するよりもいつでもどこでもカード一枚
でVNDを手にすることが出来る環境を手にしたいという思いがありました。
そこで、3月の出張時に会社の近くに支店があるNAVI BANKに個人口座を作り
「結集」の結果確定した個人資金お気楽出費分を振り込んでおいてもらうこと
にしました。
前回の出張時・・。
ようやくNAVI BANKのATMカードを手にした私は、意気揚々としてホーチミン
空港内のATMへ向かうと・・、
??? 使えないのです・・!?
いくつかの銀行のATMを試しましたが・・、
やっぱり??? 使えないのです・・!?
おかしい? おかしい? おかしい? おかしい!??
ベトナムの銀行はオンラインが完備されていないので、ローカルで、特に中小
の銀行であるNAVI BANKカードは使えないんだろうか・・?
とも思い、ダナンへ入ってからもいくつかのATMを試してみました。
しかし、やっぱり、使えないのです・・!?
そこでこの日は、夜勤のため出勤していなかったアカウンターのチャーさんを
急遽呼び出して、一緒にカードを作ったNAVI BANKの支店に出向き・・、
「ホーチミンでもダナンでもこのカードは使えなかったよ。」
「オンラインがうまく機能していないんじゃないか!」
「一体、どこのATMへいけばこのカードは使えるんだ!」
と文句を言うと・・、
「PINコードを3回間違えているのでこのカードは使えなくなっています。」
・・・・・・。
「ハズ~~~!!!」
大恥をかいてしまいました!
「チャーさんごめんね!」
「休みに呼び出し、おまけに恥ずかしい思いをさせて・・!!」
(Mr.ホー)