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(第40話) ローカルカラオケ
ダナンには日本人が少ないため日本人向けサービスというのはほとんど無く、
日本人駐在員の生活にとっては何かと不都合があります。
食事に関しては・・、
このメルマガに度々登場してきますように、勝手に「日本料理」と呼んでいる
のではあるが、とても喰えたものではないシロモノを食べさせてくれるレスト
ランがあったり、メニューに書いてある通りの姿さえ期待さえしなければ食料
としてはそれなりに安心して食べることはできるレベルのレストランがあった
り、この味に「美味しい!」という評価を与えることはさすがに躊躇するもの
の「ウン!イケル!」程度の表現であれば許されるか・・?という味を提供し
てくれるレストランがあったりというわけで・・、
「村長さん、今日は久しぶりに○○へ行きますか・・。」
などと、「店を選ぶ!」という贅沢が存在するのです。
しかし!
「ウン!イケルね!」などと肴に舌鼓を打ちつつビールと持ち込みの焼酎を
さしつさされつしながらほろほろと気分良くなった後・・・、
そこからの時間の過ごし方に問題が発生するのです。
要するに・・、
そのあと、行くところが無いのです!
遅がけから飲み始めた場合であれば、だらだらと飲み進めるうちに、
「おやっ!もう、こんな時間ですね!そろそろ引き上げますか・・。」
「そうですね。 いい時間ですね、引き上げますか・・。」
「エムオ縲怎C ティンティェン!(お縲怩「、ねえちゃん、お勘定!)」
というまっとうな結末になるのですが・・、
早い時間から始めた場合・・、
エムオ縲怎C ティンティェン!の後・・、
「このまま帰りますか・・?」
「もう一件、どこか・・、行きますか・・?」
「とはいっても・・、 どこへ行きましょうかねぇ・・?」
「マッサージでも行きますか・・。」
「そうですねえ、私は三晩連続になりますが・・、」
「でも、それが、無難でしょうかねえ・・。」
「ちょっと寂しい気もしますが・・。」
素直にホテルへ戻ってTVをつけてもローカル放送局の番組では、訳が分かり
ませんしNHKのBS海外版は、同じニュースを何度も何度も繰り返しているだけ
ですのですぐに飽きてしまいます。
かといって、
常にスーツケースに何冊か忍び込ませてある経営本を取りだして・・、
などという気力が湧かない場合・・、
「結局、一人で、チップ込み二時間1200円のマッサージか!」
ということになってしまうしかなく・・。
それが、私の悩みのタネ!であったりします。
先般、同じダイク村の手袋を作っている会社、LesGantsさんに誘われて、
LesGantsさん御用達!のローカルカラオケへ行ってみることになりました。
この日は「たかし」で食事を済ませると、ベトナム人の奥さんと子供が迎えに
来ていたサンエーのTさんと別れて・・、
LesGantsさんからは、5月に結婚式を控えたIさん。
赴任したばかりで独身のWさん。
そしてベトナム系フィリピン人で日本語、ベトナム語、英語、タガログ語を
自由に操るバイリンガルJさんの3人。
そして、Dairokuからは私と西本君で、合計5人のメンバーでした。
一般のローカルカラオケは、これまでにVietnam Dairokuの社員達と度々行く
機会がありましたので、会話を許さぬ大音量と総立ち総踊りでの無駄なエネル
ギー大消耗戦は既に何度も経験済みです。
しかしこの日は、「ここは、ちょっとシステムが違いますから・・。」という
お誘いにうっかり乗ってしまうことになりました。
ステージこそないものの日本のカラオケボックスよりは広めのスペースに古汚
なそうなソファが配置してある薄暗いスペースに通されると、ドヤドヤドヤッ
と怪しげな姉ちゃん達が現れました。
この店のシステムは、ベトナム語とカタコト英語しか話せない姉ちゃん達が
一人づつ我々の横に座って、「ビール飲め、飲め!ほれ!歌、歌え!」と、
かなり鬱陶しく世話を焼きながら時間の経過とともにアルコールの消費を促進
させるというシステムです。
一般のローカルカラオケ同様、LesGantsさん御用達のローカルカラオケも、
当然、日本語の歌なぞあるはずもなくベトナム語か英語か何故か韓国語の歌
のみです。
IさんとJさんはベトナム語を巧みに操ることができるため、彼らにとっては
それなりに有意義な時間を過ごすことが可能です。
そのため、この店は、LesGantsさん御用達となっているようなのです。
しかし、隣に座っている姉ちゃんが英語も全くダメであり「必殺、旅の指さし
会話帳」も持参してきていない状況下では、コミュニケーションが全く取れな
い上、おまけに「たかし」で黒霧島1Lパックを開けてきたWさんと私と西本
君にとっては、隣に座っている姉ちゃん達の鬱陶しい世話焼きマシンガンは
ただ単に「迷惑!」なだけで、「俺はただ苦痛!に耐える時間を過ごすため
だけにこの空間に来たのか!?」みたいな状況になりつつありました。
世話焼き軍団の中に一人、相当危険な姉ちゃんがいました。
Wさんの横に座っていたその姉ちゃん、すでにかなり酔っぱらっているらしく
Wさんにビール瓶の一気飲みを強要し始めたのです。
その危険な姉ちゃん、Wさんが拒否すると、髪を振り乱し、Wさんの上着を
掴んで揺すって飲みきるまで絶対に許しません!
本当に、絶対に、許さないのです!
「とんでもねえヤツだな!」
Wさんは、ほうほうの体で部屋付きのトイレに駆け込むと危険な姉ちゃんは
トイレの入口にあるスイッチでトイレの電気を、消したりつけたり、消したり
つけたり、消したりつけたり、消したりつけたり・・・。
「キャッキャッキャッキャッキャ!」
「なんてヤツだ!!」
客を客と思っていないどころか「客は、私の玩具よ!」みたいな感覚です。
「あの姉ちゃんには近づかんとこ!」などと思っていると・・、
ビール瓶一気飲み強要のおはちが私に廻って来てしまいました!
若かりし頃W大の稲吟会(体育会系ノリの詩吟サークル)で、剣菱のコップ酒
三倍返し!とか「黒田節」に合わせて歌が終わるまでにオードブル皿に並々注
いだ菊正宗の大皿一気飲み!などで鍛えられた私ですので、ビール瓶一気飲み
などはどうってことはないのですが、「黒霧島」が効いてきていたのと、いい
歳こいて当時のように、いきなりトイレに駆け込んで「もどす!」などという
はしたない行為はしたくないため「無理に飲む!」などというイベントはでき
れば避けたいところでした。
しかし・・、
「俺は、客だぞ!社長だぞ!!」などと無意味な抵抗をしたところで危険な
姉ちゃんはますます「飲みきるまで絶対!許さないワヨ縲怐I!」という決然と
した鬼気迫る面構えで迫ってきていますので仕方なく参戦せざるを得ないこと
になりました。
ヨ縲怎C・・、 スタート!で、
危険な姉ちゃんは猛烈なスピードでビール瓶を飲み干します。
私は、姉ちゃんの数秒遅れでなんとか飲み干しました。
「ゼイゼイ・・。」
「ヒドイ姉ちゃんに当たったもんだよ・・。」
トイレで用を足していると・・、
いきなり電気が消えたりついたり 消えたりついたり!
外では、「キャッキャッキャッキャッキャ!」の奇声が轟いていました。
LesGantsのIさん曰く、
「ローカルカラオケには、大抵一人や二人こんなのが居るもんですよ縲怐B」
お愛想を頼んだ後からも・・、
しぶとく、危険な姉ちゃん、更にビール瓶のセンを素早くパ!パ!パン!と
抜きまくってましたよ・・。
やれやれ・・。
マッサージの方が全然良かったかも・・。
(Mr.ホー)