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(第36話) 13ヶ月給料
ベトナムでは、テト(旧正月)前の一月には13ヶ月給料として正規の給料と
は別に給料のおよそ一ヶ月分を支払う習慣があります。
Vietnam Dairokuの給料日は、毎月5日にしていますので、Vietnam Dairokuの
社員は1月5日に12月分の給料をもらった後、1月24日に13ヶ月給料として
基本給一ヶ月分+手当をもらい、更にテト明けの2月5日には1月分の給料を
もらうということになります。
「13ヶ月給料ってボーナスのことじゃないの?」という気もしますが、
13ヶ月給料の他に5月と9月にもボーナスを支給する会社が多いのです。
テト前の13ヶ月給料は、会社経費として認められていますが、5月及び9月の
ボーナスは何故か?経費処理することが出来ないことになっています。
もっとも13ヶ月給料は、基本給一ヶ月分+手当(各人によって異なる)を
しっかり払うのに対し、5月・9月のボーナスは基本給の0.5ヶ月分とか0.4ヶ月
分という水準ですので・・、
基本給800,000VNDの社員であれば、5月・9月のボーナスは、
800,000VND×0.4÷160(レート換算)→約2,000円
800,000VND×0.5÷160(レート換算)→約2,500円ですから
我々の感覚としてはお小遣い程度?という金額です。
おそらく、ベトナム税務局の認識としては・・、
「5月・9月のボーナスは、法的に義務づけられた決まりではない。
社員にお小遣いをあげるもあげないも会社側の勝手である。
言ってみれば、会社の自由意志による社員に対する御礼、或いはご褒美的
性格のものであるから寄付行為に近いものと認識せざるを得ず、
従って、税務的には経費としては認めることはできない。」
というようなことなのかもしれません・・。
しかし、今年から最低賃金法の改正により、
弊社の場合、非熟練社員の基本給は、1,080,000VNDに跳ね上がり
熟練社員の基本給は1,160,000VNDにもなってしまいますので、
5月・9月のボーナスでも、
1,160,000VND×0.4÷160(レート換算)→約2,900円
1,160,000VND×0.5÷160(レート換算)→約3,625円となり、
13ヶ月給料は、
1,160,000VND+手当として約300,000VND÷160(レート換算)→約9,125円
ということになります。
社員達にしてみれば、とてもとても楽しみな一大イベントなのです。
昨年は、会社が動き出して間もない頃であり、毎月毎月雪だるまのように赤字
がふくらんでいく「赤いベトナム雪だるま」状態だったのと、私自身、ベトナ
ム人にとっての13ヶ月給料の意味と重みをよく理解していませんでしたので
13ヶ月給料といえどもお小遣い程度しか支給しませんでした。
思い起こせば・・、昨年はこんなやりとりがありました。
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正月明け早々、Vietnam Dairokuの社員から本社へ問い合わせがありまし た。
「もうすぐ、テト(旧正月)なんですが・・・、」
「ボーナスは・・・、」
「もらえるんでしょうか・・・?」
私は、Vietnam Dairokuの社員に対し、
「ボーナス!?」
「今、ウチはなぁ!
借金が、毎月毎月確実に育っている『ベトナム雪だるま!』だぞ!!」
「当然・・・、ボーナスは出ないよ!」
と、首筋からつららを落としこむが如き冷たさでビシッと突き放しました!
出張に行っていた際も、リーダーのユンが再三に渡って私に・・・・、
「社長縲怐E・・・、 もうすぐ・・・・、ベトナムはお正月縲怐v
みたいなことを言ってきます。
また、トゥンも、
「日本の・・・お正月は・・・、何を・・・しますか?」
などと、やたら正月ネタの話題を持ち出してきます。
暗に彼らは、私に、
「ボーナス・・・欲しいよぅ・・・。」と言っているのだと察し、
能面のような表情で、「お正月縲怐vネタは無視し続けていましたが、
出張の最終日・・・・。
私は、アカウンターに言いつけました!
「金庫から、金出してくれ!」
「それから、封筒もな!」
「ちょっと皆を集めてくれ!」
「未だ、会社はベトナム雪だるまである!」
「従って、まだ、ボーナスなどを払える状況ではない!」
「今後、皆それぞれの目標を達成出来るように頑張って欲しい。
皆が目標を達成できれば昇給も、ボーナスも払えるようになる。」
「しかし、成果無くして昇給無し!である。」
「故に、目標は必ず達成するように!」
「2月からは、新しい社員も増えるので、皆先輩として新入社員をしっかり
と指導して欲しい。」
「いいね・・!」
「が、しかし!・・・。」
「会社としては、今回のボーナス支給は予定していなかったが、
皆、お正月を楽しみにしているようであるし、皆の今後の成長に期待して
私は、皆に、少しづつではあるがボーナスを払いたいと思う。」
そう言って、
リーダーには6000円ちょっとワーカーには4000円ちょっとのボーナスを配り
ました。
私の訓辞の間、どうも不満げな顔だった社員達・・。
一人一人に封筒を手渡すときには一人残らず笑顔に戻っていました。
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今年は、1月26日が旧暦の元旦です。
24日の土曜日を13ヶ月給料の支給日にしています。
昨年の支給金額は、社員13名分で6万7000円程度で済みましたが、
今年は、昨年に比べて社員も増えていますし、まっとうに支給するためには、
昨年の4倍以上を覚悟しなければなりません。
しかし、彼らが一年そこそこで、しっかり成果を出してきたことを思えば
喜んで準備をしたいと思います。
(Mr.ホー)