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(第14話)社員のボーナス
正月明け早々、Vietnam Dairokuの社員から本社へ問い合わせがありました。
「もうすぐ、テト(旧正月)なんですが・・・、」
「ボーナスは・・・、
「もらえるんでしょうか・・・?」
ベトナムでは、13ヶ月給料といって旧正月前にボーナスを支給するという
習慣があります。
Vietnam Dairokuは、昨年11月から少しずつ業務を開始したばかりであり、
1月までは5台のMacでやりくりしていたため、たいした生産量が上がるわけも
なく、当然のことながら10月、11月、12月、そして依然として1月としっかり
赤字で、極めて燃費の悪い30年前のアメ車のように湯水の如くガソリンを
まき散らしながら走り続けている見事な不採算企業状態です。
現在のところ、ダイク村の家賃を滞納し、社員の給料も立て替えていただき
ながら更には私たちの出張時の航空運賃までをも立て替えていただいている
という状態で、毎月毎月雪だるまの様に借金を重ねています。(注)
「ウチの借金って、今、いくらになりましたっけ・・?」
とダイク村の村長に聞くと・・、
「そうですねぇ・・・・・、1億ドンくらいでしょうか・・・・・。」
「ぐえっ!!」
一億!などど聞くと思わずのけぞってしまいますが、
冷静に計算すれば70万そこそこですので、まだまだ腰を痛めるほどのけぞる
金額ではありません。
しかし、いくら太っ腹の村長さんだからと言えどもいつまでも甘えてばかりも
いられませんし、二ヶ月に一度のペースでの出勤ですとどうしても支払い業務
が滞り気味になり「あっ!」と言う間に雪だるまは成長してしまいますので、
その都度キチッキチッと精算していかねばなりません。
それにもまして、早急に!Vietnam Dairokuの稼いだ資金で会社を廻せるよう
に自立させていかなければなりません!
15台のMacが揃い、社員も倍増し、教育期間が終了する4月からがVietnam
Dairokuにとって本当の勝負となってまいります!
この状況の中、私は、Vietnam Dairokuの社員に対し、
「ボーナス!?」
「今、ウチはなぁ!
借金が、毎月毎月確実に育っている『ベトナム雪だるま!』だぞ!!」
「当然・・・、ボーナスは出ないよ!」
と、首筋からつららを落としこむが如き冷たさでビシッと突き放しました!
先日、出張に行っていた際、リーダーのユンが再三に渡って私に・・・・、
「社長縲怐E・・・、 もうすぐ・・・・、ベトナムはお正月縲怐v
みたいなことを言ってきます。
また、トゥンも、
「日本の・・・お正月は・・・、何を・・・しますか?」
などと、やたら正月ネタの話題を持ち出してきます。
暗に彼らは、私に、
「ボーナス・・・欲しいよぅ・・・。」と言っているのだと察し、
能面のような表情で冷徹に、「お正月縲怐vネタは無視し続けていましたが、
出張の最終日・・・・。
私は、アカウンターに言いつけました!
「金庫から、金出してくれ!」
「それから、封筒もな!」
「ちょっと皆を集めてくれ!」
「未だ、会社はベトナム雪だるまである!」
「従って、まだ、ボーナスなどを払える状況ではない!」
「今後、皆それぞれの目標を達成出来るように頑張って欲しい。
皆が目標を達成できれば昇給も、ボーナスも払えるようになる。」
「しかし、成果無くして昇給無し!である。」
「故に、目標は必ず達成するように!」
「2月からは、新しい社員も増えるので、皆先輩として新入社員をしっかりと
指導して欲しい。」
「いいね・・!」
「が、しかし!・・・。」
「会社としては、今回のボーナス支給は予定していなかったが、
皆、お正月を楽しみにしているようであるし、皆の今後の成長に期待して
私は、皆に、少しづつではあるがボーナスを払いたいと思う。」
そう言って、
リーダーには6000円ちょっとワーカーには4000円ちょっとのボーナス
を配りました。
私の訓辞の間、どうも不満げな顔だった社員達・・。
一人一人に封筒を手渡すときには一人残らず笑顔に戻っていました。
遂に、彼らの「お正月♪♪♪」作戦にまんまと嵌ってしまった様ですが、
締めて、62000円!で社員達の志気が上がるのであれば安いもんか?
(Mr.ホー)