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(第32話) 気ながにコツコツ努力する?
「ベトナムの公務員は給料が安いから、ある程度裏金収入も必要であろう。」
などという呆れた理屈を、ベトナムの新聞が堂々と論じていました。
えてして社会主義国に於いては・・、
あれダメ!これダメ!という規制の嵐に始まって、
些細なことにもいちいち申請や許可が必要な面倒な手続き、
検査!検閲!といった検査官、検閲官の自由裁量によるOK出しシステムなど、
何をするにも誰かからお許しをいただかなければならないという
「お願いシステム。」が蔓延しています。
そのくせ、ダメである筈であるのに、ダメである筈のところで、ダメである筈
のことを堂々と行っている輩も居たりします。
(弊社の、中古Mac持ち込みもその一例ではありますが・・。)
結局、冒頭の呆れた理屈を正当化してしまおうとする「お国の空気」がそれを
許しているということなのだと思います。
また、稼げるうちに「手っ取り早く稼ごうとする。」習慣が蔓延することにも
繋がっていくのかもしれません。
中国評論家の宮崎正弘氏いわく・・・、
「中国では与えられた権限のなかでどれだけ賄賂をふんだくれるかで、優秀で
あるか無能であるかが評価される。」
という話をしておられました。
要するに、たくさん賄賂を稼ぐ奴は優秀で真面目で誠実な役人は無能である
ということ。
従って、「彼はとても真面目で誠実な役人さんですよ。」などと言って誉めよ
うものなら、その表現は全くその役人を誉めたことにはならないばかりか、
返って「馬鹿にするな!」といって怒りを買うことになるのだそうです。
「それが、そのままベトナムか!?」というと、それはどうかわかりませんが
「それは、ほぼそのままベトナムにもあてはまるに違いない!」とでも表現を
変えるとすれば、ほぼ当たり!でありましょう。
お国の空気がそういう空気で充満しているのであれば、民間においても・・、
「丁稚奉公の身である今は不遇であっても、一つ仕事に真面目にコツコツ取り
組んで刻苦勉励するならば!」
「いずれはその努力は報われて、自分も番頭さんになれるのだ!」
「その後、ご主人さまから暖簾分けでもしてもらって一国一城の主となり、
ゆくゆくは、歴史に名を残す大商人となることも夢ではないのだ!」
などという気ながにコツコツ努力することが素晴らしいという価値観は育ちに
くいのでは?という気がいたします。
いくら私がリーダー社員達に対し・・、
「今、頑張れば、いずれはお前は社長になれるんだ!」
「お前が社長になって、会社が利益を出し続けている限り、給料は取り放題
なんだぞ!」
「頑張れよ!頑張れよ!頑張れよ縲怐I!!」
などといって、太鼓を打ち鳴らし、激励をし続けても・・。
「私の条件が認められないのなら・・、私は、今すぐ病気になります・・。」
とか・・、
「私は、明日から田舎に帰ります。 私の希望が叶わないのなら・・、
会社へは戻りません・・。」とか・・、
「今すぐ、給料がいくらにならなければ・・、私は、会社を辞めます・・。」
などという・・、
「お前!アホか!!」みたいな話になってしまうのでしょう。
私が、初めてダナンに行った時、通訳として同行してくれダナン外務局の職員
であったハイさんは、先々月、DAIKU村のAI-ECOさんに入社していました。
「あれ縲怐I? ハイさん!何でここにいるの!」
「AI-ECOの社員になりました。」
「そうか! ハイさんも気長な努力の大商人にはなり得なかったんだね。」
「???」
ハイさんは、若くて優秀ですし、政府関係の人脈もありますので、AI-ECOさん
にとっては彼の加入は大きな戦力補強となります。
しかし、アホ!や、たわけ!や、ノータリン!が多々生息している環境に悩ま
されているDAIKU村の人たちから・・、
「大六さんのユンはもうけものでしたね!」
「あんな子は、めったに居ませんよ!」
「大当たり!ですよ!!」
などと、よく言われます。
私は、現在リーダーとして必死になって頑張っている「大当たり!の」ユンを
心から幸せにしてあげたいと願っています。
それは・・、彼女が私を信じてくれているからです。
銭金だけの関係ではなく、「人」として信じてくれているからです。
私の言葉を信じて大変な苦労しながらも一生懸命ついてきてくれている彼女は
単なる上司と部下という関係ではなく、日本人ホーの「心を」信じて「心」を
示してくれたベトナム人ユンという「人」対「人」の関係として「知恩報恩」
(恩を知り恩に報いる)を実践しなければならない。
即ち、「心でしてくれたことは、心で返さなければならない!」のが当然であ
ると思うからです。
そのためにまず、私は、彼女が今後社長としてやっていけるための環境を準備
し始めました。
弱冠25歳の、しかもこれから結婚、出産も控えた独身の女性が社長として
やっていくためには、当然、様々な課題があります。
「それは、ちょっと無茶でしょう!」というご意見もいただきますが、
私は、それらを乗り越えていくことは充分可能だと思っています。
大当たり!の人材とは、
「気長にコツコツ努力する。」という我々日本人の感性にピッタリで、
「愚痴も言わず、要求もせず、あの子よく頑張ってるよね!」などと評価され
「もっと、給与やそれ以外でも本人の望む以上の形で報いてあげたくなる!」
ような人材のことだとすると・・、
ベトナムにおいて、大当たり!の人材に巡り会うのは、砂金の中から金を探す
以上に希なことなのかもしれません。
(Mr.ホー)