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(第31話) 単月黒字!
ベトナム出張時の私の大切な仕事・・。
それは、アカウンターが作成している社員の給与台帳、支払明細、銀行口座
明細書などを引っ張り出して全てチェックして(全てベトナム語)、これ何?
あれ何?これ何のこと?と質問責めタイムを過ごした後、一時間程費やして
Vietnam DairokuのMr.ホー流「月次試算表」を作ること。
出勤簿を睨みながら、社員ひとりひとりの月別生産高が記入してある統計表
をチェックして真面目によくやってるね社員が誰か!或いは、やる気がないの
か出来ないのかとにかく赤字社員は誰か!を確認しつつ、社員のモチベーシ
ョンを上げ続けるための次なる一手となるべき「ボタン」のありかを探し出す
こと。
そして、日々の業務から発生する様々な問題点や課題をリーダーやサブリーダ
ーに説明し、その改善方法を指示し、更に、すぐ取り組みなさい的宿題を与え
ながら前回までの宿題の進捗状況とその「完成度をチェック」することです。
しかし・・、
その中でも特に気になるのがVietnam Dairokuの「月次試算表」です。
昨年10月に業務を開始してから今年の8月までは、しっかり赤字!
Vietnam Dairokuは、会社設立後、時間が経てば経つほど、毎月、毎月、雪だ
るまのように赤字もDAIKUからの借金もふくれあがっていくという真っ赤っ赤
のベトナム雪だるま!状態でした。
当然!まだ、銀行のキャピタル口座に資本金が無く、口座預金カラカラの頃に
暫定的!のつもりで継続的につぎ込んでいたなけなしのMr.ホー個人資金が、
私の手元へ再び元気な姿で戻って来ることもなく・・・、
その後、ドカ縲怎唐ニ投下したはずの資本金も、あっさり、ペロリと食いつぶし
てしまい・・・、
本社の脛を囓りつつ本社の資金繰りにもじわじわと悪影響を与え続けている
困った放蕩息子状態なのでした。
ところが・・・!
この9月度は、見事に!Vietnam Dairokuの有史以来、初めての単月黒字を
叩き出したのです!
8万円も・・・!?
創業以来一年ちょっとで単月黒字!という、この、早すぎる栄光へのビクトリ
ーロードへ至る道には、前回仕込んでおいたちょっとした仕掛けの効能があり
ました。
ベトナム労働法には、以下の規定があります。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
使用者と労働者は、試用期間の設定について合意しなければならない。
この試用期間の労働者の賃金は、当該業務における正式従業員の賃金の
少なくとも70%に相当する金額でなければならない。
試用期間は、高度な専門技術の労働については60日を、その他の労働に
ついては30日を越えないものとする。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
要するに・・、
高度な専門技術かどうか云々については、取りあえず「高度な専門技術だ!」
と言っておけば良いわけですから、
1.試用期間中の賃金は正社員の70%以上支給しなさい。
2.採用後、2ヶ月を越えたら正社員にしなさい。
ということです。
そこで、弊社では入社後3ヶ月めにさしかかるところで、よほどの問題児で
ない限り自動的に会社と社員との間で労働契約を締結し、正社員として認め
ていました。
しかし、7月の出張時、リーダーのユンに次のことを指示しておきました。
1.入社後60日を経過し正式採用をしてしまえば正社員にしなければならない
わけだが正社員を、正社員Aと正社員Bの二段階にすること。
2.正社員Aは、本正社員として、基本給900,000VNDに、通勤手当300,000VND
3.正社員Bは、準正社員として、基本給850,000VNDで、通勤手当200,000VND
4.新人は、正式採用した後準正社員からスタートし、月間生産高の合格基準
を越えるまでは正社員Bとしての報酬を支払うこと。
5.しかし、正式採用した後一ヶ月でも月間生産高の合格基準超えたら本正社
員として正社員Aの報酬にシフトすること。
6.そして、やる気のない奴はビシビシと怒ったり、叱ったり、らじばんだり
して一生懸命頑張る集団になるよう、厳しくやってくれ。
即ち!
「正式採用されたら、もくもくと頑張って早く一人前の正社員Aになれよ!」
作戦のスタートです。
これが、見事に的中しました!
9月度は、本正社員も準正社員も見事!全員が、月間生産高の合格基準に達す
ることが出来たのです。
中でも、アカウンターのアンさんは、アカウンターの仕事もこなしながら、
合格基準の190%を達成する頑張りようでしたし、前回私にスルメイカをくれた
子持ちのハンさん(妹)も合格基準の160%を達成してくれました。
いままでは、真面目で勤勉な女子社員と、いかに楽して金だけもらうかという
不真面目無気力男子社員のモチベーションの差が大きく、全体の生産高が伸び
悩んでいました。
そこで、リーダーのユンが、「あんた!遊びに来ているの?的女子社員」と
「おまえ!無気力だね!男子社員」数名に対して大鉈を振るって、自己都合
退社に追い込んでしまい、大学サークルのような仲良し集団的な社風だった
Vietnam Dairokuが「頑張る!」仕事師集団へと変貌しつつあることが大きい
ようです。
ベトナムでは、これがなかなか出来ないのです。
日本人管理者が居ればそれほど問題ないのでしょうが、ベトナム人がベトナム
人を管理するという環境においては、彼らはお互いをかばい合うという性癖が
あるため、ベトナム人管理者が同僚である社員に対して大鉈を振るってビシビ
シ指導し、挙げ句の果てにはダメ社員を自己都合退社にまで持ち込むというこ
とはとても難しいことなのです。
リーダーのユンが行った冷徹な首切り行為は、既に会社を去っていったトゥン
君の言葉を借りれば、「ユンさんは、厳しいです。辞めたくないと言っていた
社員まで辞めさせてしまいました。」とのことですので、
「泣いて馬謖を斬」ったというよりも、「指桑罵槐(しそうばかい)『桑を指
さして槐を罵った』」の首切り大会だったと評したほうが正解でしょう。
かつて、毛沢東が周恩来を間接的に批判するために林彪や孔子を批判する形
をとって行った「批林批孔運動」も『桑を指さして槐を罵った(指桑罵槐)』
の事例として語られています。
ともあれ・・、
8月には27名いた社員の中から4名の無気力赤字社員が退社し、新人が新た
に加わったので、9月度の社員数は24名となりましたが、人数が減ったにも
かかわらず、9月の生産高は何と!8月の3割増しとなったのです。
これから、この「頑張る!」仕事師集団化しつつある美しいベクトルが、
翌月からも、曲がったり、萎んだり、らじばんだりしないように「見張る」
のが弊社顧客担当の田中君の大きな務めとなってまいります!
田中君!たのみますよ!!!
本社では、決して女子社員たちに相手にしてもらえないけれど・・、
今月、初めてダナンの地に足を踏み入れて、Vietnam Dairokuの女子社員達に
囲まれて、「田中さん!田中さん!田中さん!!」と一躍人気者になり・・、
アカウンターのチャーさんとはツーショットでお互いに先生役になって日本語
教室やベトナム語教室を繰り広げたり・・、
私が、岐阜県のミッションとの同行で不在の時は、リーダーのユンと一緒に
二人きりでベト飯ディナーに行ったりと・・、
とてもいい思いをしてきたのですから・・・。
(Mr.ホー)